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【ゲーセンの中の人インタビュー】マキシムヒーロー(北海道札幌市)「TOMY」さん

札幌駅からJR線に沿って徒歩約10分。JR線の高架下にあるのが、「アミューズメントステーション マキシムヒーロー」です。プレイヤーが気軽に店員に話しかけ、ビデオゲームの向こうにプライズゲームがあり、音ゲーコーナーでは情報交換をするユーザーが、または遠征ユーザーが写真を撮る、まさに“ゲーセン”の光景が広がるお店です。

2023年8月21日、マキシムヒーローは10月1日から「GiGO 札幌駅西口(仮称)」としてオープンすることが発表されました。そんなマキシムヒーローに20年勤務され、引き続きGENDA GiGOさんへ移籍して「GiGO 札幌駅西口(仮称)」を引っ張っていかれる「TOMY」さんに、インタビューにお答え頂きました!

以下、TOMYさんのインタビューです。最後までお読み頂ければ、嬉しいです!!

※インタビュータイミングは2022年10月。諸事情により2023年8月24日のタイミングでの記事公開となりました。


MAXIM HERO

北海道札幌市北区北6条西6丁目1−1 WEST6

MAXIM HERO Twitter(X)アカウント

ゲームセンター業界に入ったきっかけはアルバイト

初めまして。札幌のゲームセンター「マキシムヒーロー」で長い間店長をやらせて頂いている、「TOMY(トミー)」と言います。よろしくお願いいたします。

「マキシムヒーロー」にはアルバイトスタッフ時代を含めると2000年前半からいますので、もう20年を超えました。年齢がバレちゃいますね(笑)。

ゲーセン業界で働きはじめる前は、東京で働いていたんです。そこから“札幌に戻る”という事になって。「生活基盤を作らなくては!」となりまして、アルバイトを探していたところ、偶然ゲームセンターの求人を見かけて、それでゲーセン業界に足を踏み入れました。だから本当にたまたま、ゲーセン業界で働き出した感じです。

その頃は機動戦士ガンダム(連邦vsジオン)が稼働する直前の頃かなと思います。今振り返ると、まさかこんなに長い付き合いになるとは思ってなかったです(笑)。

ゲーセン業界での経歴的には、このお店の前身にあたる「アミュージアム札幌」のアルバイトスタッフからはじまって、間に1店舗挟んでから、現在のこの「マキシムヒーロー」になります。

入社当時のアミュージアム札幌は、ビデオゲーム寄りのラインナップでした。基板でいうとJVS規格(新JAMMA)が主流になり始めの頃なので、両方が混在しちょっと癖の強い時代に勉強させてもらえました(笑)。あの頃のゲームセンターは“最先端”だったので、すごくキラキラしていましたよ。

その後アミュージアム札幌が閉店したところにマキシムヒーローが開店、というのが成り立ちの流れになりますね。自分が「マキシムヒーロー」で働き始めた頃は、ちょっと昔過ぎてうろ覚えなんですが(笑)、確かオープンして2年目くらいだったかなと思います。なんと、当時のマキシムヒーローは“クレーンゲームの店”として打ち出していたんですよ(笑)!「クレーンゲーム台数全道一」とか謳ってましたね。今から考えると時代の先取りって感じですよね!

なので逆に、ビデオやアーケードは優先順位が低い感じだったんです。ただ、自分はビデオゲームやアーケードゲーム関係を勉強したり注力していたので、一度退店を選んでいるんです。退店して、別のゲーセン店舗に勤務していました。

…のですが、そのお店も閉店が決まりまして。その時、再び「マキシムヒーロー」にお声がけ頂いたんです。それで、再入店というか、再びお店に立つ事となりました。暫くぶりに戻ってきたマキシムヒーローは、ビデオやアーケードの台数が増えていて。バランスのとれた店舗として運営されていましたね。

小学生で、店頭で遊んだゲームに感動して、のめり込んじゃいました

ゲーセンとの出会いは、小学生の頃。地元の駄菓子屋の一角にあったゲームコーナーに入り浸っていました(笑)。それこそスト2とか、夢中になって遊んでいましたね。当時は、ほとんどの駄菓子屋さんやおもちゃ屋さんの軒先に筐体が置かれていましたよね。あれを触ってしまったのが間違いだった(笑)!もう完全に家庭用よりこっち側へグッと寄っちゃいました(笑)。

駄菓子屋やおもちゃ屋ゲーセンは、いわゆる本格的なゲーセンではないので、本当に筐体が数台あるだけ、だからこじんまりと遊ぶ感じなのですが、それでも本当に、もう楽しくて!スト2とかはどこの駄菓子屋にでも、おもちゃ屋さんの軒先にでもあったから。その当時は本格的にやりこむっていうレベルじゃなく、波動拳を出すのも手一杯な感じなんですが、それでも技が出るだけで楽しい時期でした(笑)。我が家はゲームに否定的な考えだったので、ゲーム機なんかは買ってもらえなかったんですよ。その反動もあったかもしれないです。店頭で遊んだゲームに感動して、すっかりのめり込んじゃいました。

駄菓子屋ゲーセンの魅力は、“ゲーセンの本格的な対戦台”みたいな感じよりも、“仲良し台”みたいな感じで、ワイワイみんなで盛り上がれるところ。ああいうのが楽しかったですね。だから”格ゲーにハマった”というよりも、ゲーセンにある機械だったら何を遊んでも楽しかった!ジャンル関係なく、何でもプレイして楽しんでました。

自分はゲームが上手かったわけではないので、本当に“ゲームが好き”という気持ち。その気持ちだけで、ゲーセンに足を運んでました。進学しても暇さえあればゲームをしに行くというのは変わりませんでしたね(笑)。一時期、生活圏にゲームの出来る環境がなかった事があるのですが、その時以外はずっとゲーセンに通っていましたよ。長い間遊び続けていると、こだわりが生まれてきまして。例えば「レバーじゃないと格ゲー出来ない!」みたいな感じになったりしました(笑)。

最も思い入れのあるゲームは「バーチャロン」。高校生くらいの頃に初代バーチャロンと出逢ってから、シリーズでずっと遊んでます!初めてプレイした時の鮮烈で衝撃的な感動を今も忘れられません。もう、ずっと大好きな作品です。中毒性があるゲームですよ、あれは!(笑)

繰り返しになりますが、自分は特別“ゲームが上手い”とかじゃないけど、ずっとゲーセンで遊び続けてきた。だから今でも、のめり込んだ当時の「技が出たらそれだけで嬉しい」とか「技をキャンセル出来たらそれだけで感動」とか、そんな気持ちは、今も自分の中にずっとありますね。

考え方の転機は「閉店」

ゲーセン業界で働き始めた当初の自分は、“お客さん目線”“プレイヤー目線”が強い店員だったので、思い返すと当時の仲間達や経営者の方々には、ご迷惑をおかけした事だろうと思います(苦笑)。

当時自分はアルバイトでしたが、「ユーザーに還元したい」という気持ちがとても強くて。「プレイヤーの目線でいられる店員は、自分しかいない。頑張ろう!」って強く思ったりして。ゲーセン店員としてそんな気持ちを常に抱いていました。

だけど、こういう考えというか、志を、同じくらい強く持っている人は少ない、と感じていましたね。同じアルバイトスタッフのみんなも頑張っているのは当然理解していましたけど、自分くらい強く感じて行動している人はいないぞ、というか。思い上がりや綺麗事と言われてしまうかもしれませんが、「それなら自分がやるしかない!」という強い思い込みで、その気持ちを原動力に、とにかく思いつく限りで努力と工夫をしてました。

それを周囲から見て“出来ていた”と評価してもらえていたかはわかりませんし、当時の自分のその情熱は会社から見たら「それで売り上げに直接繋がっているのか不明」とか「こだわりが強過ぎる」とかそう見えていたかも…「扱いにくい」って感じられる部分も大きかったんじゃないかと思います(笑)。

当時の自分は、「会社のいう利益も大事だけど、でもユーザーも大切だし」とか、日々葛藤しながら、いろいろ熱い思いで頑張ってました。ただ、協力者が少ないと感じていたので、それが一番大変でしたね。同じ目線というか、同じ発想といいますか、情熱を共有出来る同志が少なかったのが、(当時は)辛かった。

でもその、長く勤めていく中で、先程少し触れましたが、2店舗ほど閉店を経験することになりまして。閉店に携わらせて頂いて、そういうのがあって、自分の考え方が変わっていったように感じてます。

閉店って本当にきついんです。何とも言い難いものがありますよ。お店から機械を搬出して、フロアに全部無くなって、ガラガラになっちゃって、何にも無い寂しいフロアになっちゃったりとか。もう本当に味わいたくないですね。

初めての閉店の時は、まだ全然意識も低くて「潰れちゃったかあ」みたいな他人事的な気持ちのところは、正直あったと思います。

だけど2件目になると「ああ、自分が力不足だったのかな…」みたいな。「もっと出来る事はなかったのかな」「もっと頑張れるところはなかったのかな」というのがありまして…。やっぱりそういうのに立ちあう事で、考え方・見方が変わるなぁと、経験を積んできて改めて思いますね。もう二度と同じような事にならないように、「頑張れるところは頑張りきろう!」っていうのは、自分の中で強く思うところです。

昔は、常連のプレイヤーさんたちにも、自分たちと同じくらいの危機感を持って欲しいなんて思っていて、そういう事を常連さんたちにも伝えようと頑張っていた時期もありました。でも次第に「これはお客さんにお願いする事じゃないんだな」とか「お店側の僕たちの意識なんだよな」とか、考え方も柔軟に変化しました。プレイヤーさん達はただ、純粋に、ゲームを遊びたい・ゲームを楽しみにして足を運んでくれていて、自分たちはその場を提供する側だから。

昔、自分がワクワクして、キラキラしていたあの場所の様な、高揚感とか多幸感とか、そういうものを来てくださる皆さんにも感じてもらいたい。そう思ってもらえる場所を提供出来たら良いなと、思っています。

元々の店名は「マキシム」

転機といいますか、お店の歴史の一つとしては、あんまり知られてないんですけど実は、元々の店名は「マキシム」だったんですよ。自分がここで働き出した時もまだマキシムでした。

というのもその当時、この店の2 階に「ヒーロー」っていう漫画喫茶がありまして。今もそこの壁に「漫画喫茶ヒーロー」って書いてある(※注:上記写真)んですけど、あれはその名残なんです。今は2階は使っていないんですが、当時のまま残っているんです。

きっかけはアミュージアム麻生店の跡地に「マキシム麻生店」というお店が出来まして。そこで当店とわかりやすく区別がつくように、うちの1階の「マキシム」と2階のヒーローを足した形で「マキシムヒーロー」と呼ばれるようになりました。それで、最終的には「じゃあ屋号も、“マキシムヒーロー”にしよう!」となって、今に至ります。つまり、歴史の中で実は店名が変わっているという、非常に珍しいお店です。

この経緯があんまり知られてないのも「漫画喫茶ヒーロー」があった事自体も10年以上前なので(笑)。ちなみに「アミューズメントステーション マキシム」なのは、前述した、クレーンゲームが主流だった時代の名残ですね。

店名以外にお店の転機になったのが、“闘劇”

もう一つ、店名以外にお店の転機になったのが、“闘劇”ですね。

ビデオゲームが全国的に盛り上がっていた時、闘劇が主流になった時代がありまして。その当時、うちの店では、店舗大会をよく実施していたんです。その為に格ゲーを多く置かせてもらっていました。そういうのもあって格ゲープレイヤーさんが当店に本当にたくさん訪れて下さっていて、自分達も活発に交流させて頂いていました。

そういう流れもありましたし、自分もビデオゲームには期待していたので、当時の店長に「闘劇やらせて下さい!」って自分から頼み込んで、やらせてもらえる事になりました。結果、うちのビデオゲームが、とても盛り上がるようになりまして。

特に07年のメルブラ(MELTY BLOOD)大会が大きかった。多分07年といえば、メルブラは初の闘劇だったと思うんですが、その年に北海道からメルブラで優勝者が出たんですよ。なんと壇上に2チームも上がるっていう。それまで、北海道勢が闘劇で結果を出した事ってほぼ無かったのに…!もう、今考えてもすごいなって。

しかも、その2チーム共が、うちのお店によく顔を出してくれていたプレイヤーさんのチームだったんです。これで一気に勢いがつきましたね。壇上に上がったチームから「結果出してきたぞ!」って報告してもらえて。「あぁ…本当に良かったなぁ」と。PCからの移植ゲームだったので、当時としては少し異色というか今までのゲームとは少しスタートラインが違ったので、そういうところでうまくはまったのかなぁ…とか。07年の記憶なので全部きっちり覚えているわけじゃないから、ちょっと都合の良い解釈してるかもしれないですけど(笑)、でも、多分概ねの流れとしてはそんな感じだった(笑)。本当に、嬉しかったんですよ。

そこから“マキシムヒーロー=ビデオゲームの強いお店”っていう印象になったんじゃないかなと思いますね。抱き続けてきた「自分はユーザー目線でお店をやるんだ」という思いの結果が一つ出たというか。

自分は、なんというか「ここで遊ぶのは特別だ」というのを作りたかったんですよ。イメージとして、“ゲーセンでみんなが黙々とゲームをやっている”…というのではなく、そのゲームをやってる人にスポットライトが当たるような環境を目指したと言いますか。

当時は、2023年の今よく行われているような大きな大会とか、そういうのは当たり前なものではなかったので、“ゲームが上手い人”が、手放しで褒めてもらえるような、特別なんだって見てもらえるような、そういう環境が作りたいなっていうのはありました。今だと当たり前なんですけど、“戦略”“競技”的なものを、当時から自分は押してあげたいなあという思いが常にありましたので…。これって、まさに、今でいうeスポーツですよね!あ…ここでもちょっとインタビュー用に綺麗に言ってるかもしれませんが(笑)。

やっぱり北海道は、東京などとは違って、店舗数や地理的な問題で、地元外からの集客が難しいところがあると思うんです。本州から来られるとなると飛行機に乗らなくちゃ…ってなっちゃいますし。“北海道旅行”とかそういうような目的がないと、なかなか来られるのは難しいかなと。道民の自分たちも「ゲームセンターでゲームするためだけに、気軽に本州へ行くか?」と問われると、なかなか難しいのは一緒なので。

なので、そういった事もあり“東京基準で同じ事をやっても上手くいかない”……なんて、今では思うのですが、当時の自分はそういう事も(プレイヤーに)「やりたい!」「やってあげたい!」という気持ちが強かったんです。地元プレイヤーの、闘劇全国大会優勝というのは、そういう事の一つの結果というか、転機というか。この辺がそういう時期だったんじゃないかと思います。

今も、店内の、カウンター横のショーケースに当時の賞状や盾とかを飾っていますので、ぜひ見ていって頂きたいですね。

今は、店舗存続が最大の課題

今は、今はですね、ここ数年コロナ禍だった事もあり、残念ながら店舗存続が最大の課題です。一時期は、コロナ前の全盛期からは売上規模が半分にまで、落ちてしまった。力の入れ具合としてはビデオメインのお店だったのですが、コロナ禍以降はクレーンゲームを増やしました。

クレーンゲームに関しては伸びしろを残している状況だったので、努力と工夫をしてきて。今その分の結果は出ているかなという感じではあります。クレーンゲームの営業の仕方も、本当に課題が沢山あって、日々勉強で、本当に大変なんですが、日々精進という感じで今はまず生き残るために、スタッフ全員、一丸となって、努力しています。

おかげさまで今は、それまで好調だったビデオゲームの売上がへこんだ分を埋めてくれる分には、この転換は必要だったのかなという感じまではきています。

今でこそ減ってしまいましたが、うちのお店は昔は本当に競合店が多かったんですよ。もっとビデオが強いお店とか、運営会社が大手さんだったりとか。そういう競合店に囲まれながらもここまで生き残ってこられているのは、本当に恵まれてきたんだなと思いますね。

だからここで終わらないように、まずはやはり生き残りですね。そのためにクレーンゲーム運営とかも勉強して、いろんな事が落ち着いたら、またビデオの方を。具体的には格闘ゲームを!盛り上げていきたいなと思っています!

直近で困っている事としては、とにかく人がいないことですね。

要因は3つかなと思っていて、1つはコロナ。ずいぶんと人の流れは戻りましたが、まだ声出しなども控えめにしなくてはならない状況で、コロナ前のように大人数を集めるイベント開催には至っていません。今やっている工夫としては、イベントに参加される方も参加されない方もそれぞれが思い思いに楽しく過ごせるように、ゾーニングを試みています。大会やイベントをする時にマイクを使ったり歓声が湧いたりするので、参加されない、ゲームプレイを楽しみに来られているお客さんのために場所や導線をうまくわける感じです。

2つめは、新幹線工事に伴う周辺環境の変化ですね。以前は駅から直通の通路がありましたが、新幹線の工事に伴って高架の補強工事が始まってしまって…。同じ業界で働くの方から、「お店なくなったの?」と言われるほどまで周囲から視認できなくなってしまって、来られるときも外を通らないといけなくなってしまって、一見のお客様が、だいぶ減ってしまっています…。

3つめは、家庭用ゲーム機の進化。昔の業務用ゲームは“ナンバーワンのオンリーワン”だったと思うのですが、今では最新のゲームを楽しみたいという場合は家庭用ゲームが先行していて。立場が逆転しちゃったりもしています。こういうのは正直、ゲーセン側の努力ではどうしようもないっていうところです。業務用ゲームの新作が殆ど出ないとか、出てもあまりお客さんに受けないとか…業界全体として一丸になってもっと頑張っていかないといけないなと思いますね。従量課金や消費税などの問題もありますし、仕組みそのものが変わってほしい、と思うところもあります。

“1日”の中で、ゲーセンを体験してほしい

最近のゲーセンのお客さんは、年齢層が全体的に上がっていってるなと思います。どういうことかというと、元々客層の中心だった学生層の方たちが、学生から社会人になってもそのまま遊びに来てくれているケースがとても多い。そしてその当時のゲーセンを知っている人達は、当時のまま「ゲーセンが楽しい」という感覚を持ち続けてくれているように感じます。逆に、今の学生達に「ゲーセンは楽しいんだよ!」って説くのが難しくなっているなと思います。

昔はみんなで集まって、ワイワイゲームやって、めいっぱい遊んだ後はみんなで食事に行ったりとか、“楽しい一日”の中にゲーセンが組み込まれていた。今は、大会とかイベントといっても、ゲーセンで体験するよりも、大手さんや関連メーカーさんの主催イベントをネット配信で見る、というほうが身近かもしれません。しかも、ネット配信だから見比べられる。豪華なイベントをネット配信で沢山見て、目が肥えていく。だから全てのゲームイベントが、たくさんお金がかかっていて、キッチリ決められた大会ルールと、プロのアナウンスで、テンポよく展開される事が当たり前、というように認識している方も多いかもしれないなと思います。

そういう豪華さや華やかさの面では負けてしまうけど、常連さん達とお店が一緒になって、試行錯誤して作り上げる、“小規模店舗ならでは”のイベントの良さ、小規模店には小規模店のイベントにも良さがある、っていう事をお伝えしたいんですね。ですが、なかなか、「ゲーセンのイベント体験が無い」「配信だけ見ていることが殆ど」「身近な週末のゲームイベントを知らない」という方達にお伝えしていく事は、そう簡単ではないんだなと、痛感しています。

やっぱり、上手い人と対戦したいだけならオンラインで出来ちゃうし、上手い人のプレイを見るのも今はオンラインで見られちゃいますしね。でも、ネットで見ていると内容を理解できた気になるし「自分も出来そう!」って思うんですけど、実際プレイすると全然違うじゃないですか(笑)!いざ対戦したら手が上手く動かないし、駆け引きなんかも思っていたよりもすごいパターン出てくるし、考えていたのと違う展開になるし!やっぱり、実際にプレイしてみて、体感してみてもらって、それで見ているだけではわからない真の面白さや深いゲーム性なんかを知って、全力でゲームの面白さを感じて欲しいなと思います。

…今は全然、こういった事にまで手が回っていなくて。本当はビデオゲーム配信とかもっと頑張りたいんですけどね。店長という役職上いろいろ事務のことがあったり、本当にやるべき事や目下の課題が山積みで…(苦笑)。個人としてもお店としても、やりたいこと、やらなくてはいけない事だらけです!

ゲーセンで働く事は、正直言って楽しい

正直、働きはじめた当初は、こんなに長くこの業界に勤めるとは思っていなかったんです(笑)。親会社が変わったりもしながら、今も株式会社アムジーのお店として、従業員も屋号も変わらずそのまま残る事が出来ているのは本当に運が良かったですし、関わって下さる皆様や環境に恵まれてきたなと、賜物だなと、思います。

親会社が変わるという事は、当然仕事のやり方など全てが変わってくるので、面倒くさいと感じるところももちろんありました。実質は、閉店とまでは言わないけれど、当然中身はガラッとやり方が変わります。そういう時に新しい環境についていくのは大変でした。が、それでも残って「良かったな」と心から思っています。

自分がこの業界に入って22年くらい。その内マキシムヒーローとの付き合いは20年くらいなるのかな?ここまでゲーセンで働いてきましたが、正直言って、ゲーセンで働くのは楽しいです。他の業種経験が少ないので、比べるのは難しいんですけど。

具体的には自由度がすごく高い!本当に自由に働くことができる仕事だと思います。自由度が高いので、自分で考えてどんどん新しい事が出来る職場です。自分で考えて、意見を出しあって、実際に運営という形として出していけるって、本当に面白い仕事ですよ。

逆に、自由度が高すぎて何からやっていいのかわからなくなるくらいです。もちろんやる気を形にしていっても結果が出るとは限らない。自分が100点だと思っても、得られる評価が100点とは限らない。当然、評価が得られないとモチベーションが下がってしまうし辛い気持ちになるかとは思いますが、結果を残せた時や評価を得られた時は、それを強く感じる事が出来て、本当に嬉しい!その中で自分はイベント等を自由にやらせてもらえてとても良かったなと感じられているので、それがモチベーションとなって、今も続けられています。

そういえば、自分はバーチャロンが大好きだという話をしましたが、好きが高じたのがあって、当店には“FORTH”“オラタン5.66”と揃えさせて頂いております!日本中でもなかなか見かける事の無い、貴重さがウリの筐体です!

バーチャロンは未だにファンの多いゲームなので、ファンの中には「他のゲームはやらないけど、バーチャロンだけはやる」なんて方もいらっしゃいます。有難い事にそんな方達の中で当店は話題になっているらしく、遠征して来て下さる方も多くいらっしゃるんです。自分もバーチャロンが好きなので、足を運んで下さる方とコミュニケーションを取れる事が、嬉しいです。だから「何か新しい事が出来ないか?」「何か話題を作れないか?」という模索をしていまして、その中で、専用のTwitter(X)アカウントを開設して、運用してるんです。“集客!”って感じのものじゃなくて、そんなにこまめに呟いてるような感じでもないんですが、嬉しい事にリアクションも結構頂けるんですよ。ゆるくやれているのと、何より好きだから続けられています。好きっていうのしかないですね。

結局は「好き」なものなので続けられている

自分も元々は「ゲーセンで遊ぶのが好き」だったんですけど、今もうゲーセンで働く事に染まり過ぎてしまって、純粋に楽しんで遊ぶ事が出来なくなりました(笑)。今は「ゲーセンで遊ぶのが好き」よりも「ゲーセンで働くのが好き」って感じです。結局は「好き」なものなので続けられているんですね。

「他の業界の羨ましいところは?」と聞かれると、正直、人が入ってるところは全部羨ましいです(笑)。特にコンシューマーのイベントは羨ましいですね。人がたくさん集まってて、贅沢にお金をかけたイベントが出来て、賞金もだせてしまうのなんてもう(笑)!今でも「ゲーセンの大会は、何で賞金出ないの?」なんて無邪気に言われちゃう事もあります。まぁ同じタイトルで家庭用版とアーケード版の両方でイベントがあれば、プレイヤーさんからしたらそういう疑問ももちますよね。法律に関してはなかなか厳しい業界なので、こんな時は他の業界は羨ましく感じますね(笑)。

働く仲間とは、もちろん常に意見をぶつけあいながら日々お店を運営しているわけですが、スタッフ間のコミュニケーションは非常に和やかです(笑)。雑談だと、ゲームとかアニメとか、ディープな話題が多いかな。クレーンゲームは情報が命だったりするので、「今期のアニメってどれが面白いの?」とか「いま流行ってるのって何?」とかそういうのもよく話します。

ビデオゲームでも単純に好きなゲームの熱量をぶつけてくるスタッフとかもいます(笑)。実際に対戦して、情報を共有して、「このゲームのプレイヤー層はこうだからこうしない?」とか「こういうのやらない?」みたいな話題に発展したり。うちのスタッフは平均年齢が若くて、殆どが20代前半なんです。おかげで自分とは話題が合わなくて…(笑)、そういう事もあって、同じゲームで遊んでコミュニケーションを取っていくしかない面もあります(笑)。

ちなみに当店、人手が足りていません!!!立地的に学生さんが通いやすい場所ですので、是非ご応募お待ちしてます!マニアックな人材募集中です(笑)!!

マキシムヒーローは“ゲーセン”でありたい

マキシムヒーローは“アミューズメント”にならず、“ゲーセン”でやっていきたいと思っています。自分が長くゲーセンに携わってきて思うところは、独自のライブ感というんでしょうか、イベントも含めてなんですけど、ゲーセンでしか出来ない交流というものがあります。そういうのをもっといろんな人に伝えて、もっと一緒に盛り上げていけたら良いなと思っています。やっぱり独特だと思うんですよね。ゲーセンのコミュニティとかライブ感とかは。

ゲームセンターって今はちょっと正直どこも厳しいとは思うんですけど、そのせいか業界全体がゲームセンターではなくなってきてるなぁと。アミューズメントになってきちゃってるなって。

そういうお店も勿論あってほしいし、どちらも必要ですし、自分も楽しいって思うんですけど、“ゲーセン”と言われるお店が、全てがそういう形になっちゃうのは、ちょっと寂しいなと。

ただ実際、20年近く、自称ですが“お客様目線”“プレイヤー目線が強い”店員から店長までやり続けてきてみると、「あ、これをやらないと儲からないんだ」とか「これを設定しないと売り上げにならないんだ」とかっていうのも身に染みてわかってきて、綺麗事だけでは経営は出来ないんだな…とはわかってきています。でも、そういうのは現実今起こっていて、今後も更に増えていきそうな現状もあるので、なので、寂しいという気持ちと悔しいという気持ちと、とても複雑な感じです。

だから余計に「自分たちはゲーセンでいたい、踏ん張りたい!」と思うところなんですね。

こだわりとしては「入りにくいゲーセン」にはしたくなくて。当店はずっと“クリーン”な店舗運営を心がけてきておりまして、元々ハウスルールも心がけにそって作って掲示したりしていまして、そのためか、トラブルというのがとても少ないんですね。具体的には、例えば、もしも仲間内で台を占領してプレイしている団体さんが居たら。自分だったらすごく入りにくいと思うんですよね。そういった事なんかが起こらないように、できるだけいつも快適に過ごしてもらえるお店であるように、クリーンな運営であれるように、店内の隅々まで目を光らせています。

会社の中では「ちょっとゲームの場所広く取り過ぎじゃない?!」なんてツッコミもあるんですけど(笑)。(注:ゲーム機をギリギリに詰めて配置したらもっと台数を置けるのでもっと儲かるかもしれないところを、ユーザーの快適さのために、横幅や通路に幅をもたせた余裕のある配置にしている)

ゲーセンユーザーの方へ

マキシムヒーローは今も格闘ゲームに力を入れていて、配信とかも頑張っているので、ぜひ見て頂きたいです。また、何かありましたら相談とか頂けるなら、出来る範囲のことはやりたいなと思っているので、気軽に声をかけてほしいです。ユーザー寄りの目線をもったスタッフがいたりしますので、うまく折り合いがつけるところで一番楽しい事が一緒に出来ればと思いますので。ぜひご相談下さい!

今回のインタビューにあたって「うちの店はこれがすごいんですよ」「ここがすごい強みなんですよ」というのを考えたんですけど、なかなか思いつかなかったんですよね。自分達はもう「これが当たり前」だと思って毎日やってきてるので、ひょっとしたらその中に、特別だと思ってもらえるものがあるのかもしれないですけど。言われたら「あっ!」っていうのもあるのかもしれない(笑)。なので、良かったら皆さんから教えて頂きたいですね。

是非一度お店に足を運んでみて頂きたいです。そして皆さんから見たマキシムヒーローを、ぜひ教えてもらいたいです。

あと、バーチャロンは間違いなく1ネタになるので!(笑)バーチャロンファンの方には本当におススメです。

普段ゲーセンに来られない方へ

当店は、老舗のゲーセンのように、レトロゲームの品揃えが多いお店ではないんです。なので、ちょっと中途半端な印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。

“レトロゲー多数”とか“アミューズメント施設”みたいな感じではなくて、そつなくバランスよく取り扱っています。だから、「これからゲーセンの雰囲気を味わってみたいな」という方にはちょうど良いかもしれない。是非ちょっと立ち寄ってみて頂きたいですね。「こんなゲーセンもあるんだ」と思って頂けるかもしれません。

ゲームセンターは風俗営業に該当しますし、イメージがわきにくいかもしれないですが、当店は基本的にはトラブルもなく、穏やかなお店です!衛生面にも配慮していて、安全に遊んで頂けるように努力して運営しているので、是非お気軽にお立ち寄りください。来て頂けたら嬉しいです!


TOMYさん、お忙しい中、ありがとうございました!

同店はGENDA GiGOさんへの譲渡が発表されましたが、TOMYさんをはじめ、みなさんGENDA GiGOさんへ移籍をされるそうです。運営会社が変わる中でも、アーケードの強いゲーセンを守ってきたTOMYさんにはこれからも MAXIM HEROの培ってきたゲーセン文化を、引き続き昇華させて、続けていって頂けるものと期待しております!

「マキシムヒーロー」の皆さんと一緒に、ゲーセン文化を守り、発展させていきたいと強く思います!

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